2013秋のわくわく学びツアー【総務省統計局】
いよいよ秋が到来ですね。秋といえば、やっぱり「勉強の秋」ということで、春に引き続き、秋のわくわく学びツアーを開催しました。今年は初の2回開催です。
今回は、全国でも圧倒的な会員数と実績を誇るネット家計簿「ココマネ」を運営するNTTメディアサプライ株式会社様とのジョイント企画で、な、なんと!家計調査や消費者物価指数でおなじみの、あの「総務省統計局」にお邪魔してきました。2011年から始まったこの「わくわく学びシリーズ」ですが、ついに国の機関へ突撃Let’s Go~!
全国から集まったご当地FP35名(過去最高)で、「行ってしまえ~」という、いつもながらのノリで^^;(こんなノリで、大丈夫なのか・・・と疑問を持ちつつも)
統計調査のいろいろな苦労話やエピソード、統計資料館の見学まで、FPとしては知らずにはいられない貴重なお話が盛りだくさんの、と~っても学び多き有意義な勉強会となりましたので、その模様をレポートいたします。
まずは統計局が一体どんなことをしている機関なのか?が気になるところです。私たちFPは、ライフプランを試算する時など、業務上、この家計調査というあまりに有名すぎるデータにお世話になっているものの、統計局が普段どんな業務をしてて、どんな方法でそのデータを作成しているのか?といった、もっと踏み込んだ中身の真相のところまでは、まず知っているわけではありません。普段は見えてこない裏側が知りたい!というこちらの願いに応えてくださったカタチで、今回は5部構成で開催されました。
第一部)統計局の役割と業務内容とは!?
第二部)知られざる情報e-Statシステム!
第三部)家計調査の調査方法とその真相は一体?!
第四部)家計調査からわかること
第五部)統計資料館の見学
第一部)統計局の業務内容とは!?
まさに日本の未来をつくるための、あらゆる統計データーとその機密情報を扱う国家機関だけあって、その業務もとても幅広いのですが、大きく分けると、主に「国勢に関する調査の実施」「統計の加工や編集」「統計情報の提供」3つの業務から成り立っています。
●国勢に関する調査の実施
統計局というと「家計調査」で有名ですが、人口ピラミッドも統計局から発信されているものです。そんな統計調査の一覧は、以下のリンクにあります。
http://www.stat.go.jp/info/guide/pamphlet/02.htm
中でも重点的にやっていると説明があったのが、「労働力調査」「家計調査」「消費者物価指数(CPI)」の3つの調査。つまり、家計調査もその1つですね。というのも、この3つは、日本経済を決定づける重要な指標になるからですね。
●統計の加工や編集
統計局で行っている統計とは別に、他の省庁がそれぞれ行っている統計もあり、それらを集めて、情報が重なっているところを整理し1つの統計書として編集するのも統計局の重要な業務として行われています。
●統計情報の提供
調査の後、加工や編集が行われ、そして、最後の業務が情報の提供です。3つの業務の中で最も力を入れているのがこの「情報の提供」というところ。例えば、敬老の日が近くなると、敬老の日に関わる統計など身近な統計が「統計トピックス」としてリリースされたりしています。
以上、第一部はご紹介もかねて、大まかな流れで解説を頂きました。いわゆる「ザ・国家」というのをすごく感じる内容でした(笑)ちなみに、栃木県の宇都宮市は餃子が有名なところで知られていますが、ここは実は、家計調査をきっかけに「宇都宮の餃子」が誕生したそうです。また各都道府県の有名な物産に関しても、統計局が真面目に取り組まれています。ここから各地の日本一が分かります。
http://www.stat.go.jp/data/kakei/family/03.htm
第二部)知られざる情報e-Statシステム!
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/eStatTopPortal.do
統計局の膨大なデーターは、誰でも検索をかけたり、自由に使用することができます。そのデーターの検索サイトが、e-Statです!これがすごいです。統計の検索だけなく、人口ピラミッドの作成も、地図や図表からピンポイントで、その地域の統計データーを見ることもできます。
またこれらのデーターは、カスタマイズして、エクセルデーターやCSVファイルとしてダウンロードして活用することができる機能も搭載しています。私たちFPとしては、最もお世話になるところですね(笑)色々触れば触るほど、面白くなってきますので、ぜひ慣れるべし!と思うところでした。とにかく多機能で、いろんな角度からカスタマイズして調べられます。
また、これまでは自分でエクセルファイルなどをダウンロードして加工する必要があったのが、今後(平成26年に本格運用)は、API機能を搭載し、条件を入力することで自動的に生成するシステムが導入されるそうです。つまり、こちら側の加工する手間がなくなるというもので、膨大なデーターの中からラクに便利に統計データーが使えるようになる見通しです!どんな風になるのかは、まだ公開されませんでしたが、楽しみですね。
というわけで、統計をマスターするには欠かせないe-statシステム。
続いて、第三部。ある意味、私たちにとっての本命の「家計調査の方法」です!
第三部)家計調査の調査方法とその真相は一体?!
ここは全国のFPが知りたい!って思うポイントではないでしょうか?恐らく、家計調査と聞いて、何となくまず思うのが、
「統計局って、一体どこまでのことを、どのレベルで調べているの?その真相が知りたい」
というポイントだと思います。
国の調査による統計ですから、そこまでの精度が期待できるものではないと、思って見える方もいるでしょう。しかし、とんでもなかった・・・今日からその考えは改めることになるでしょう。もはや壮絶とも言うべき、果てしない根気と労力の結晶です。とてもじゃないですが、これは本当に税金でなければ不可能な領域といっていいほど、精密なのものでした。日本人であることを誇りに感じるくらい。日本の統計局は、間違いなく世界トップレベルだと思います。
調査方法の実態!?調査世帯は、全国8821世帯が対象。
内訳は、二人以上の世帯が8,076世帯、単身世帯が745世帯。ランダムに選定された調査世帯が、6ヶ月間(単身世帯は3か月間)毎日のすべての収入と支出を家計簿に記入していただいて、そのデーターを基に作られるという方法です。しかも、回収した家計情報は紙媒体なんですが、すべて手入力でデーター化するらしいです!8821世帯の6ヶ月分です。どんだけのボリュームなんでしょう。想像しただけで凄まじい作業です。そして、勉強不足で申し訳ないのですが、実は、家計調査への協力は国民の義務だったんですね^^;
さらに、この調査の偏りを防ぐための工夫もすごいです。二人以上の世帯は6ヶ月間、単身世帯は3ヶ月間、家計簿をつけてもらうそのタイミングも、一気に行うのではなく、二人以上世帯は6分の1ずつ6ヶ月に分けて行い、単身世帯を3分の1ずつ3ヶ月に分けて行うのです。
で!どのレベルまで調査員が立ち会っているのか?ってところが凄まじく緻密です。ある意味、ここが調査品質そのものになるわけですので、一番知りたいところだと思いますが、実は、計りで計測する時に、お肉とかレタスとか、食材のグラム数を測ってその細か~い金額を出すところまでを盛り込んでいるのです!これ、すごくないですか?そして、そんな精度での家計簿を1件、1件、8821世帯に行った集計が、私たちがみる「家計調査」の実態なんです!
これほど緻密にやってみえるのであれば、いくら国民の義務と言えども、抵抗ある人がいるのでは?と思いますよね?!個人情報保護の時代ですから、当然抵抗のある人もいらっしゃると思うのです。そんな空気を読んで、ご当地FPを代表して?!中村毅(東京)FPが尋ねたところ、やはり、調査員の方も、相当なご苦労の中やってらっしゃることが判明いたしました。
まず、いつ訪問して良いのか?といった時間が分からないという難しさがある中、ご協力いただく方のご都合に合わせて調査を進める必要があるため、当然ながら土日平日昼夜も関係なく進めなければならないこと。二人以上世帯ならご家族にご都合を伺うことができるのですが、単身世帯は、いつ自宅にいらっしゃるのか?いつご都合が良いのか?といった情報が分からない中、訪問と調査を進めていく必要があるため、果てしない根気と労力が想像できます。その上で、1件1件ご理解の上、丁寧に進めていく必要があるのです。思わず「本当にご苦労様です!」と言ってしまいました。そして、もし協力依頼があれば、もはや率先して協力します!と誓うしかないと思いました。
これが、家計調査の実態です。
どうですか?適当なラインで、あまり基準にならないと考えていた家計調査が、ここまで緻密にやっていたと知ると、顧客様から面談で見せて頂く家計簿よりも、ある意味、正確かもしれません。
4)家計調査からわかること
さて、お勉強としては最後の第四部。家計調査をもとに、全体像から分かることを、様々な角度から解説を頂きました。消費者心理(マインド)が改してくると、様々な動きが見えてきます。例えば、食品でいば肉類や外食の消費が増えたり、娯楽に使う支出が増えたり。もちろんインフレやデフレの動きを察知するための調査ではありますから、収入と支出の動きは当然のごとくではあるのですが、細かい内訳の動きまでもが、正確に家計調査では分かるようになっています。
また、アベノミクスの株高によって、どの世帯が一番影響を受けているか?といったこともデーターにはっきり現れていました。ずばり高齢者(世帯主年齢60歳以上)の無職世帯です。保有資産の増え方で分かるというわけですね。こういったデーターは、すべて家計調査にあります。詳しくは、家計調査をご覧ください。
http://www.stat.go.jp/data/kakei/index2.htm#kekka
5)統計資料館の見学
そして、締めは、統計資料館の見学です。ここには、杉 亨二(すぎ こうじ)先生から始まったこれまでの統計局の歴史から今までの資料が博物館のように、ズラリと並んでいます。
杉 亨二(すぎ こうじ)先生の銅像
エントランスには、iPadで資料館にある統計データーをチェックできる最先端のシステムが導入されています。
お馴染みの人口ピラミッドが、こんなに大きなオブジェクトとして設置されています!
都道府県別の人口マップもでーんとあります!
FPが全国から集まって、こういうカタチでゾロゾロと列をなすのは、ある意味、日本初だと思います(笑)とっても面白すぎる光景でした。
1つ1つの統計を丁寧にお話頂き、歴史までも勉強できました。本当に、ありがとうございました!
最後は、全員でパチリ!
秋のわくわく学びツアーを終えて・・・
今回のわくわくツアーを通じて特に感じたのは、これまでお邪魔してきた、いわゆる「サービスを提供する」立場にある民間企業とは、その役割が根本的に異なり、日本の歩んできた様々な英知や歴史を正確に刻むために存在する機関であること。そして、日本という国を表現するための鏡のような機関であることを、改めて痛感しました。
1つ1つのデーターのすべてに意味があり、これまでの日本を映し、そして、これからの日本の未来を作るためのソースを丁寧に職人技で積み上げる。そんな点と点を線でつなぐ統計局の役割に、思わずジーンと来てしまいました。
仮にも、統計局から調査の依頼があったときは、率先して協力したい!と腹に決めました(笑)自分のありのままのデーターを正確に届けることが、やがて未来の日本を作るそのものになる。そんなことを考えながら、終了しました。